NEWS by 福岡自動車博覧会

大陸からの熱風 アジア・九州クルマ新事情<4>現地生産 急成長するライバル
2007-12-04 西日本新聞

 ■12月7—10日 福岡モーターショー■

 中国南部広東省の省都・広州。ホンダ、日産、トヨタの日系三社の工場が集中し、「中国のデトロイト」とも称される一大自動車生産拠点だ。

 十一月二十五日。第五回広州モーターショーが開かれた国際会議場は、好天の日曜日とあって、家族連れやカップルなど大勢の来場者が押し寄せた。人いきれでむせ返るほどの熱気だ。

 特に混雑するのは、日系車の展示フロア。トヨタの小型車「ヤリス」(日本名ヴィッツ)や、ホンダの新型「アコード」など、各社が中国市場に投入予定の新型車がずらりと並ぶ。

 広州は、周辺部も含めた実質的な人口が約一千万人で、富裕層も多い大市場。来場者の大半は、最先端の「夢のクルマ」を楽しむというより、購入する車を物色している。ヤリスを熱心に見ていた陳と名乗る男性(50)は「性能や品質で選べば、日系車が一番だ」と、ぶっきらぼうに言った。

 広州モーターショーは年々、規模を拡大し、今回は、中国や欧米系を含む六十二社が新型車など約五百台を展示、一週間で四十八万四千人もの来場者を集めた。イベントは今や、顧客獲得を狙うメーカーが火花を散らす世界有数の“戦場”だ。

    ■   ■

 広州中心部から高速道路を南に約一時間の南沙地区。道路や鉄道が整備された広大な工業団地に、トヨタの中国南部の最重要拠点、広州トヨタの工場はあった。

 広州トヨタは昨年五月に完成車生産を始め、生産車種「カムリ」の販売台数は、中国の中高級車部門で十一カ月連続首位を獲得。第二工場建設の計画も浮上しており、年産能力二十万台は将来、倍増する見通しだ。

 「(必要な部品を必要時に調達する)ジャスト・イン・タイムに徹底的にこだわっている」と、広州トヨタを統括する総経理、葛原徹(58)は胸を張る。

 工場の近隣には、トヨタ紡織やアイシン精機など、トヨタ系の部品メーカー十三社が大挙して進出している。一帯は「トヨタ村」とも呼ばれ、広州トヨタは、部品量の90%以上をトヨタ村を含む近隣地域から調達しているという。

 広州トヨタと周辺部品メーカー間には物流専用トンネルが掘られ、ナンバープレートのない専用トラックが往復していた。公道を使わない世界初の部品供給体制。渋滞や事故のリスクがほとんどないというわけだ。

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 「すごい。これはとてもまねできん」。十一月中旬、北部九州の自動車産業企業団とともにトヨタ村を訪れた福岡県自動車産業振興室長、今村修二(51)は驚嘆した。

 自動車メーカー三社が集積する九州と広州。広州の年産台数は数年内に百万台を超え、北部九州の生産台数に迫ることが確実視される。

 「中国が九州の脅威になるのは間違いない」と指摘するのは日産九州工場長の川瀬賢三(58)。将来的に、生産拠点としての役割が奪われかねない−。そんな警戒感が、今村たちを広州への「敵情視察」に向かわせた。

 しかし、今村は冷静だ。「常に先を行くしかない」。中国は、地場企業の技術・品質管理レベルが全体的にまだ低い。九州はその間に、地場企業の参入促進などで産業のすそ野を広げ、車両開発機能など頭脳拠点の誘致も進めることで競争力を高める戦略だ。

 急速な成長を続ける中国。巨竜にのみこまれぬためにも、九州は走り続けなければならない。  (敬称略)

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