NEWS by 福岡自動車博覧会

大陸からの熱風 アジア・九州クルマ新事情<6>部品調達 安さ求めて中国から
2007-12-06 西日本新聞

■12月7—10日 福岡モーターショー■

 「日本企業との取引は勉強になる。ぜひ当社の部品を使ってほしい」

 今年五月、自動車関連工場が集まる中国・広州郊外。現地の自動車部品メーカー中国人社長の熱心な売り込みに、トヨタ系の一次部品メーカー、アイシン九州(熊本県城南町)の社長加藤肇(62)は確信を深めた。

 「この向上心があればうちの社で中国製部品を使える日は遠くない」

 加藤が中国からの部品輸入を考え始めたのは約三年前。中国は日本に比べ人件費が格段に安いため部品単価も低く、うまく活用すれば部品調達のコスト削減につなげることができるからだ。

 加藤は年に三、四回のペースで中国に飛び、これまでに上海や広州近郊の部品メーカー約百社を視察。まだ自動車部品は品質に問題があり、取引に至っていないが、設備部品の一部は上海近郊のメーカーから仕入れを開始。日本国内で調達するよりもコストを三−五割程度削減できたという。

    ■   ■

 「自動車部品のワイヤハーネス? 二年前まで九州の自動車工場(側)から注文があったが、今はゼロだ」。福岡県北部の中小企業の五十代社長は電話口でまくしたてた。

 ワイヤハーネスとは自動車全体に神経のように張り巡らされる銅線素材の電線。銅線の切断、はんだによる付属品の銅線への取り付けなど製造作業は比較的簡単だが、機械化が難しく人手が必要な労働集約型の部品だ。

 社長は「中国、ベトナムなど人件費が安い海外に生産がシフトし、注文は安い方に流れてしまったようだ」と言い、「(わが社は)厳しい状況が続いている。これ以上の取材には応じられない」と電話を切った。

 宮崎市で自動車やオートバイなどのワイヤハーネス製造に取り組む山洋製作所社長の山田孝典(39)も危機感を強めている。今春、納入先関係者から「今後、ワイヤハーネスを含む部品を、中国など海外産に切り替えていく可能性がある」と聞かされたからだ。

 同社は関連会社と合わせると、主婦を中心にパート従業員約百二十人、内職約百人を雇用。地域活性化に貢献しているだけに、山田は「海外に負けないよう、より安く、より高品質のものを造るなど、生き残りに力を入れていく」と語る。

 九州経済産業局によると、九州のワイヤハーネス類の輸入額は二〇〇〇年は約百億円だったが、〇五年は三百億円近くに増加している。

    ■   ■ 

 七五年稼働の日産自動車九州工場を皮切りにトヨタ自動車九州、ダイハツ九州と、三つの自動車組立工場が立地する九州。「その割には自動車産業のすそ野が広がっていない」と、福岡大教授(国際経営学)の居城克治(59)は指摘する。

 同産業局によると、九州の自動車生産台数は百一万台(〇六年)で全国に占める割合は約9%。これに対し、自動車部品の出荷額は約八千百億円(〇五年)で4%弱にとどまっている。

 同産業局は「自動車産業の歴史が古く、技術力がある関東や中部から、部品を調達している例が多い」と話す。

 地域別の域内部品調達率をみると、日産などの生産拠点がある関東は81%、トヨタの生産機能が集中する中部は84%。これに対し、九州は50%にとどまっている。

 居城は「関東、中部の部品メーカーに対抗できる企業が十分に育っていない。今後は中国などアジアも有力ライバルとなる可能性がある」と指摘している。 (敬称略)

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