【解説】九州大学大学院が自動車に特化したオートモーティブサイエンス専攻を開講するのは、高度人材の養成を通じて、九州の自動車産業振興策を後押しする狙いがある。構想をまとめた有川節夫副学長によると、“出口”を特定産業に特化した学問領域の設置は、国内初という。
九州では大手自動車メーカーの工場立地が進み、2006年には生産台数が100万台を突破、官民がつくる北部九州自動車150万台生産拠点推進会議は、「08年度に生産150万台」との目標を掲げている。しかし、地域への経済効果を高めるためには、現地での部品調達率向上や、設計開発拠点の誘致が課題となっている。
このため、北九州市では産学官による技術系人材育成の動きが活発化しているが、九大は「総合大学の強みを生かし、経営者や研究者など、あらゆる分野の頭脳を送り出す」(有川副学長)構想を描く。自動車メーカーが環境配慮型や事故を防ぐ次世代車の開発にしのぎを削る状況も見据え、心理学や環境学に強みを持つ近郊大学にも連携を求めた。
また九大は、自動車を軸に幅広い知識を習得し、企業での長期研修を行うことで「一つの領域を深く掘り下げるため、つぶしがきかないと言われる」(有川副学長)博士課程研究者の実務能力を高め、企業に採用を促すことも目指している。