NEWS by 福岡自動車博覧会

大陸からの熱風 アジア・九州クルマ新事情<3>巨大市場 中国で人気の九州産
2007-12-03 西日本新聞

■12月7—10日 福岡モーターショー■

 中国・上海市西部。日本や韓国、欧州など世界各地の自動車販売店が並ぶ中で、ひときわ豪華な建物が、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の車を販売する「上海和凌雷克〓斯(レクサス)」店だ。敷地には噴水付きの池がある日本庭園が設けられ、日本らしさを演出。レクサス車八台が並ぶショールームスペースはガラス屋根で、自然光が室内全体に行き渡っている。

 経済成長著しい中国の富裕層をターゲットに、レクサス販売の第一号店としてオープンしたのが二〇〇五年二月。レクサスは中国で生産していないため、販売する車はすべて日本からの輸入だ。

 同店によると、最高級車の「LS600hLハイブリッド」(日本円で約二千四百万円)も売れているが、一番人気はトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)だけが生産する「ES」(約八百二十五万円)。ESを買ったという企業幹部の中国人男性(45)は「乗り心地がいいし、設計、デザインが細かな所まで行き届いている」と満足げだった。

 トヨタによると中国でのレクサス販売台数は〇六年が約一万三千台。〇七年は九月までで約一万九千台。うち一万四千台近くがトヨタ九州産だ。

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 「キュッ」。ほかの自動車工場で聞かれるような「ガガガ…」といった大音響はここにはない。一般的な空気圧式工具ではなく電動式工具を使っているためだ。静けさを追求することで部品取り付けや品質チェックの際の異常音に気付くというわけだ。

 レクサスを生産するトヨタ九州・宮田工場(宮若市)の第二工場。〇五年の稼働で年産能力は二十万台。トヨタは「最新レベルの生産ラインを稼働させている」と語る。

 熟練技能工もレクサス生産には不可欠。工程内には七カ所に「クオリティー・ゲート」と呼ばれる関門が設けられ、車が通過するごとに、検査員が手、耳、目などをフルに使って品質をチェック。検査員は仕事に入る前、必ず自分の手の感覚を確かめるテストを受けなければならない。テスト用車体に手でさっと触れて、すき間や段差が何ミリあるかを当てる。トヨタ九州広報担当者は「誤差が〇・二ミリより大きければ、仕事場に立つことは許されない」と説明する。

 塗装工程の一つ、水研磨(すいけんま)では、従業員が職人技の手作業で円形のブラッシャーをかける。レクサスの魅力の一つである特有の光沢感は、この作業抜きでは実現しない。

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 「需要があるところで生産する」。これがトヨタの生産方法の基本。輸送費や関税などのコストを削減し、その分、安い価格で販売できるからだ。中国でもカローラなど九車種を六工場で生産している。

 だが、レクサスを中国で生産する予定はない。トヨタは、一つの工場には年産能力二十万台を持たせるのを目安とするが、レクサスの中国販売台数のボリュームは、その十分の一程度。まだ工場建設には至らないわけだ。さらに「レクサス生産にはたくさんの熟練技能者がかかわっている。そういう人材の育成には時間がかかり、その点でも新工場の設置は容易ではない」(トヨタ広報)と話す。九州経済調査協会(福岡市)研究主査の豆本一茂(39)は「日本製ということが売りになる」として今後も中国生産しない可能性を指摘する。

 トヨタは中国を「有望市場」とみており、レクサス販売店を約三十店舗に増やしている。販売台数をさらに伸ばす構えで「その原動力は今後も九州だ」と明言する。 (敬称略)

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